婦人科疾患
婦人科疾患について
女性の体内では常にホルモンバランスの変化が起こっており、それが心身の状態に大きな影響をおよぼしています。特に、月経、妊娠、更年期などによって様々な変化が生じます。当院の婦人科では、月経不順、不正出血、下腹部痛、おりものの異常など、女性に多く見られる症状や、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮がんなどを診療します。
診察の結果、高度医療や入院加療、手術などが必要と判断された場合は、連携している高度医療機関への紹介をいたします。
主な疾患
- 子宮内膜症・子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮体がん
- 卵巣嚢腫 など
子宮内膜症・子宮筋腫
子宮内膜症
子宮内腔にしか存在しないはずの組織が、なんらかの原因で子宮内膜以外の場所に生じてしまう病気です。具体的には、卵巣、卵管、子宮周囲の腹膜などで増殖し、月経のたびに出血を繰り返すようになります。なお、血液が卵巣に溜まったものを卵巣チョコレート嚢腫と呼んでいます。子宮内膜症になると、ひどい月経痛で悩まされることがあります。初期の段階ではそれほどではなくても、徐々に痛みが強くなっていくので、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
子宮筋腫
子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。こぶの大きさは、小指の先ほどの小さなものから、赤ちゃんの頭ほどもある巨大なものまで、千差万別です。複数の腫瘍ができてしまうこともあります。この病気は良性なので、それ自体が生命を脅かすようなものではありませんが、不快な症状が出現します。具体的には、月経困難症、月経痛、過多月経が代表的です。出血量が多いため、貧血になる場合もあります。治療法には手術療法と薬物療法があるので、患者さまの症状などを見極めて選択します。
子宮頸がん
子宮入口付近の子宮頸部と呼ばれる部位から発生するがんです。子宮体がんよりも観察や検査を行いやすいので、比較的に発見されやすいがんと考えられています。早期のうちに見つければ治療しやすいのですが、進行すると治療が難しくなるため、定期的に子宮頸がん検診を受けて早期発見に努めるようにしましょう。
なお、子宮頸がんの発生には、ヒトパピローマウイルスの感染が少なからず関連しています。多くの場合、感染しても無症状のうちに排除されるのですが、感染が持続すると子宮頸がんの前がん病変や子宮頸がんが発生してしまうのです。従って、適正な時期に子宮頸がんワクチンを接種することも大切となります。
子宮体がん
子宮体がんは、胎児を育てる子宮の内側から発生するがんです。発生の仕方には、タイプ1とタイプ2があります。前者の場合、子宮内膜増殖症という前がん病変を伴い、徐々にがんが形成されます。全体の約90%を占め、比較的若い40~50歳代に多いと言われています。
一方、後者は正常な子宮内膜から一気にがんができるタイプで、高齢者に多くみられます。日本人には比較的に少ないがんだと言われていた頃もありますが、生活習慣の欧米化に伴って年々増加しています。特に、不妊症、出産経験の無い方、肥満、糖尿病、高血圧の人は危険群です。子宮頸がんに比べ、子宮体がんになる年代は比較的高いので、閉経後あるいは更年期での不正出血がある時は詳しい検査を受けるようにしましょう。閉経前であっても、月経不順、乳がんを患ったことがある患者さまは十分にご注意ください。
卵巣嚢腫
腫瘍の中に液体や脂肪が溜まっている軟らかい腫瘍です。初期の段階ではほとんど自覚症状がないのですが、徐々に成長し、腫瘍が握りこぶしくらいの大きさになった頃から違和感を覚えるようになります。腫瘍がほかの臓器を圧迫するため、腹部膨満感や腰痛などがみられます。さらに進行していくと、便秘や頻尿を招きます。不正出血やおりものの増加などの症状も強まります。また、腫瘍がお腹の中でぐるりと回転して捻じれてしまい、激しい吐き気、嘔吐を伴う腹痛が起こるケースもあります。そのようなときは早期の手術を行います。