ワクチン・検診
子宮頸がんワクチン

子宮頸がんの発生にはヒトパピローマウイルス(HPV)が関わっています。このウイルスは子宮頸がんの患者さまの90%以上で見つかることが知られており、長期にわたって感染すると、がんのリスクが高まります。実際には、HPVに感染しても自然に排出されるケースが多くみられます。しかし、ウイルスが自然に排出されず、数年から数十年にわたって持続的に感染した場合は、がんになることがあるのです。
このようなリスクを減らすには、子宮頸がんワクチンを接種することが大切です。適切な時期にワクチンを接種することにより、HPVの感染を予防できます。使用するワクチンには、2価HPVワクチンと、4価HPVワクチンがあります。前者は、子宮頸がんから多く見つかるHPV 16型と18型の感染を防ぎます。後者の4価HPVワクチンは、HPV16型、18型に加えて、尖圭コンジローマの主要な原因となるHPV6型と11型の感染も防ぎます。
ワクチン接種後に見られる主な副反応は、発熱、接種した部位の痛みや腫れ、注射による痛み、恐怖や興奮をきっかけとした失神などが挙げられます。予防接種を受ける際は、ワクチンの有効性とリスクを十分にご理解いただいた上で、お受けになるかどうかをご判断ください。
子宮頸がん検診
当院では、受診された方の不安などにも配慮し、子宮頸がん検診を行います。ケースバイケースですが、基本的には問診と内診を行い、必要に応じてコルポスコピー診や細胞診を追加します。問診では、初潮年齢、月経の状況、妊娠・出産経験の有無、自覚症状の有無などについてお聞きします。内診では、専用の診察台に上がり、頸部の状態を目で見て確認します。腟鏡で子宮頸部の状態を観察することにより、子宮の形、大きさ、位置、表面の状態、炎症の有無などを把握することができます。コルポスコピー診では、腟拡大鏡を用いて子宮頸部を観察し、子宮頸部病変の程度と広がりを把握します。
子宮頸がんの可能性が疑われるときは、細胞診も必要となります。柔らかいヘラやブラシのようなものを腟に挿入し、子宮頸部の粘膜を軽くなでるようにしながら採取します。稀に少量の出血を見ることがありますが、痛みはほとんどありません。
子宮体がん検診
子宮体がん検診では、子宮の内部に細い棒状の器具を挿入して細胞を採取して検査する「子宮内膜細胞診」が一般的です。疑わしいところがあれば、さらにさじ状の器具を使って組織を採取します(組織診)。ただ、子宮体がんの患者さまは比較的年齢の高い方が多いので、子宮の中まで器具を挿入することが難しいケースもあります。そのような場合は超音波検査で判断することもあります。
細胞診が陽性の場合には、組織診も行われます。キューレットという医療器具を子宮の奥に入れて内膜組織をかき取り、顕微鏡で検査します。組織を採取するので、人によっては痛みを伴うことがあります。検査後、しばらくは出血が続くこともあります。